「普通に飲む」という嘘
酒をやめられるかどうかは、
「酒は普通に飲んでいる分には嗜好品だから良いが、アルコール依存者にとっては毒である。だからやめなければならない」
という考えを否定できるかどうかにある。
いってみれば、この言葉は世間の常識であり、アルコールを断とうと勉強した人でさえとりつかれている考えである。
しかし、上の言葉の酒の部分をコカインに変えてみたらどうだろうか。
「コカインは普通に吸引している分には嗜好品だから良いが、麻薬依存者にとっては毒である。だからやめなければならない」
こんなことを言う人がいたら、麻薬の常習を疑うだろうし、
普通に吸引ってなに?と思うに違いない。
それがアルコールの場合、
普通に飲んでいる、といってもおかしく聞こえないのは、
それが単に合法だからというだけなのだ。
そして、その「普通に飲む」という言葉を認めたとたん、酒を飲みたくなりはじめる。
なぜならそれは、アルコールにはメリットがあると認めることと同じだからだ。
アルコールにはメリットなどひとつもないのである。
メリットがひとつもないことがわかれば、飲みたいという欲求も消え失せる。
すると「普通に飲む」人をうらやむどころか、かわいそうにとさえ思うようになる。
彼らは、過去の自分と同じように
アルコールによって利益を得ている全てにだまされているのだから。
「普通に飲む分にはいいが」という言葉に決してだまされてはいけない。